発起人1名[発起人=設立時取締役]の株式会社を発起設立の方法により設立する際の流れを例にとり、当事務所で多く行う手続の流れをご紹介いたします。
以下の流れは、お客様のご要望、スケジュールの都合等により一部前後することもございますので、ご了承ください。

1.会社の概要を決定する(定款を作成する)

 

会社の種類(株式会社or合同会社)

会社の商号

・会社の目的

・本店の所在地(最小行政区画まで)

・出資の最低金額(資本金の額)

機関設計

・事業年度

etc…

 

定款というのは個々の会社等の組織・活動について定めた根本規則のことです。

ここでミスをしてしまうと、会社設立後に「必要な許認可を受けることができなかった」、「融資がスムーズに受けられなかった」等の問題が発生することが考えられます。

もちろん会社を設立した後に変更をすることができる事項ではあるのですが、後から変更するとなると手間もお金もかかってしまいますので、最初できっちり決めておくのが望ましいというのは言うまでもありません。

当事務所ではお客様のご希望をお伺いし、希望に沿った形の会社を設立できるよう、しっかりとヒアリングをいたします。

お客様が疑問に思っていること、不安に思っていることをすべてぶつけていただければと思います。

もちろん後になって疑問や不安に思うことがでてきたときも、即座に対応いたしますので、ご安心ください。


2.スケジュール作成

 

・資本金の払込み日

・定款認証日

・設立登記申請日

それぞれの日時を決定します。

設立登記の日は会社の設立日となりますので、当事務所では大安の日をご提案させていただくことが多いです。(登記が完了した日が設立日ではないのでご注意ください)

その他だと、語呂で選ぶ方、ご自身に縁のある日を選ぶ方もいらっしゃいます。

希望の日程をお申し付け頂ければ、その日に合わせてスケジュールをお組いたしますので、お気軽にお申し付けください。

ただし、ここでご注意いただきたいのが、法務局が休みの日(土日祝日等)には設立登記の申請ができない、すなわち、会社の設立日とすることができないということです。

この場合だけは別日を会社の設立日としてお選びいただくことになりますので、ご了承ください。


3.発起人による決定

 

発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数と払込金額

・払込金額のうちいくらを資本金とするか

・本店の具体的な所在地

以上の事項を発起人により決定します。


4.資本金の払込み

 

上記2で決定した日に、発起人名義の口座に資本金の払込みをしていただきます。

※最初から口座に資本金相当の金額が入っているだけでは、資本金の払い込みがあったとは認められず、実際に払い込むという行為が必要となります。

そして、払込みがあったことを証明するための書面の一部とするために、通帳の以下の部分のコピーをお取りいただきます。

①表紙

②1ページ目

③払込みが確認できるページ


5.発起人による設立時取締役の決定

 

資本金の払込みが完了した後に設立時取締役を選任します。

何故、3の発起人の決定の際に同時に設立時取締役を選ばないのかと思われる方もいらっしゃるかと思います。
それは、会社法第38条に「発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。」という規定があり、4の資本金の払込み(出資の履行)をした後に設立時取締役を選任する必要があるためです。

※3~5は同日に行っていただくことが多いです。


6.公証人による定款の認証

 

1で作成した定款を2で決めた日に公証役場に赴き、公証人に認証してもらいます。

定款認証とは、正当な手続きによって定款が作成されたことを公証人が証明することであり、これにより、定款は効力を有することとなります。

※定款認証は本店所在地の都道府県内の公証人にしてもらう必要があります。
定款認証には公証人との定款の内容の事前打ち合わせと事前予約が必須です。


7.登記申請

 

2で決めた日に管轄の法務局に対して、会社設立の登記申請をします。

このときに印鑑届も一緒に提出します。
(会社も個人と同様に印鑑を提出し、印鑑証明書の交付を受けることができます。ただし、個人と異なり、印鑑の提出、印鑑証明書の交付申請は法務局に対して行う必要があるため注意が必要です。)

※登記の完了までは、だいたい1~2週間程度かかります。


8.登記完了後

 

登記が完了すれば会社設立の手続きは全て完了となります。

ここではその後、法務局で行う必要がある手続きについてご案内します。

①登記事項証明書の取得

登記事項証明書とは、登記記録に記録された事項の全部又は一部を証明した書面のことです。
これにより、会社がたしかに存在していることを外部に証明することができます。

②印鑑カード交付申請及び印鑑証明書の取得

会社の印鑑証明書を取得する際に必要な印鑑カードの交付を受け、それを使用して印鑑証明書を取得します。
印鑑証明書の取得は印鑑カードを持っていれば誰でもすることができますが、印鑑提出者(代表取締役)の生年月日を知っている必要があります。

 

※登記事項証明書と印鑑証明書は会社名義の口座を作るときなどに必要となるので、各数通は取得しておくと良いでしょう。


9.その他の手続きについて

 

①源泉所得税等の納付

当事務所にお支払いただく報酬金額は源泉徴収税額を差し引いたものとなっております。
依頼者の方はここで差し引いた(徴収した)金額を報酬を支払った月の翌月10日までに税務署に納めなければなりません。

※源泉徴収は、給与・報酬・利子・配当・公的年金等の支払者が、それらを支払う際に所得税などを差し引いて、それを国に納付する制度であり、依頼者の方はここでいう、報酬の支払者にあたります。

 

②各種申請、届出

・法人設立届

・青色申告の承認申請

・社会保険の加入

最低でもこれくらいの手続きは必要になるかと思われます。

会社設立後のこういった手続きにも不安があるという方には、税理士、行政書士、社会保険労務士など、信頼できる各士業をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。


※お客様にご用意いただく必要のあるもの

 

①会社の印鑑セット

②発起人の印鑑証明書

③会社設立時の取締役になられる方の印鑑証明書

以上の3点です。

①の印鑑セットにについて、設立登記に必要なものは会社の実印(代表印)だけなのですが、会社設立後にはその他の印鑑を使う機会も多いため、その他の印鑑(銀行印、角印)も併せて用意される方がほとんどです。

②の印鑑証明書については定款認証日において発行より3ヶ月以内のものが必要になります。(定款認証時に必要となります。)

③の印鑑証明書については登記申請日において発行より3ヶ月以内のものが必要になります。(登記申請時に必要となります。)